ワキガはボツリヌストキシンで治せる?治療の効果・費用・副作用を徹底解説
この記事でご紹介すること
「汗をかいたときのニオイが気になる……もしかしてワキガ?」と自分のニオイに悩んでいる方は少なくありません。ワキガであれば手術を受けるべき?切らずに治せる方法は?など、治療方法を知りたいという方も多いのではないででしょうか。
汗を止める手軽な治療法を探している方におすすめなのがボツリヌストキシン注射です。ここでは、ボツリヌストキシンを注入するワキガ治療とはどのようなものなのか、効果や費用、副作用などを徹底解説します。
そもそもワキガとは?
ワキガは医学的には腋臭症(えきしゅうしょう)と呼ばれ、独特の強いニオイを放つ汗が出る状態を指します。
人の皮膚には、エクリン汗腺・アポクリン汗腺の2種類の汗腺があります。このうち、ワキガの原因となる汗が出るのはアポクリン汗腺です。アポクリン汗腺は誰もが持っているものですが、ワキガ体質の方はアポクリン汗腺の数が多い、またはアポクリン汗腺から出る汗の量が多いといわれています。
エクリン汗腺から出る汗はサラサラとした形状ですが、アポクリン汗腺から出てくる汗は粘性が強くベタベタしているのが特徴です。また、エクリン汗腺は全身に分布しているのに対し、アポクリン汗腺は脇の下、耳の穴、へその周囲など限られた場所に存在します。なかでも脇の下に密集しており、強いニオイを放つことから、一般にワキガと呼ばれています。
ワキガかどうかをセルフチェック
自分で自分のニオイを知るのは難しいものです。汗のニオイが気になると「ワキガでは?」と悩む方もいますが、ニオイがすれば、すべての方がワキガというわけではありません。
ワキガ体質の方には、次のような特徴があります。気になる方は、自分があてはまっているかチェックしてみましょう。
耳垢がベタベタしている
耳の中にはアポクリン汗腺があります。綿棒で耳掃除をしたときに、常にキャラメル状の耳垢が付着するという方は、ワキガの可能性があります。逆に、カサカサした耳垢が出る方は、ワキガではありません。
ワキが触れる衣類に黄ばみができる
アポクリン汗腺から出る汗には色素が多く含まれているため、衣類が触れると黄ばみます。普通の汗でも多くかいた場合は黄ばむことがありますが、ワキガの場合はこれよりも茶色に近い黄ばみができます。
脇毛が多い
アポクリン汗腺は毛根部分にあるため、脇毛が多いとアポクリン汗腺も多い可能性があります。ただし、脇毛が濃いからといって必ずしもワキガとは限りません。
両親がワキガ
ワキガは遺伝することがわかっています。両親のどちらかがワキガの場合は、高い確率でワキガになります。
ワキガのニオイは自分で軽減できる?
日本人では、軽度の場合を含めると全体の10~15%ほどの人がワキガといわれています。欧米人は70~90%がワキガといわれており、その大きな要因となっているのが食生活と考えられています。
ワキガを自分で治すことはできませんが、ニオイが強くなる原因となっているものを控えることで、ある程度弱めることは可能です。
高脂肪の食生活を控える
肉などの高脂肪の食品、乳製品やバターなど乳脂肪分が多く含まれている食品は、ワキガのニオイを強めるとされています。これらの食品に偏らないよう、バランスを考えた食生活を心がけるようにしましょう。
飲酒・喫煙を控える
アルコールやニコチンには汗腺を刺激する働きがあり、アポクリン汗腺が活発化してしまいます。できるかぎり控えたほうがよいでしょう。
ワキを常に清潔に保つ
ワキガのニオイは、アポクリン汗腺から出た汗と皮膚表面にある皮脂や汚れが混じり合い細菌の繁殖が活発になることで強まります。汗をかいたらこまめに拭き取るなど、常に衛生的に保つようにしましょう。
ワキガはボツリヌストキシン注射で治る?
ボツリヌストキシンを注入すると汗腺の活動が抑えられるため、汗の分泌量を減らすことができます。これにより、ワキガのニオイを軽減することが可能です。
しかし、ワキガの原因であるアポクリン汗腺を取り除くわけではないため、根本的に治すことはできません。ボツリヌストキシン注射をすると、通常3日から1週間程度で効果が現れ、約半年間効果が持続します。効果が薄れてくると、再びニオイが強くなってきます。
ボツリヌストキシンが汗腺の働きを抑えるメカニズムとは
発汗は、アセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質の働きにより促進されます。ボツリヌストキシンには、このアセチルコリンの分泌を抑える作用があります。アセチルコリンがブロックされると発汗そのものが抑制されるので、ワキガのニオイが抑えられるというメカニズムです。
ボツリヌストキシン注射によるワキガ治療が適している人とは?
根本的治療でワキガを治したい場合は、手術などの治療法でアポクリン汗腺を取り除く必要があります。ボツリヌストキシン注射によるワキガ治療が適しているのは、次のようなケースに該当する方です。
・ワキガが軽度の人
・手術によるワキガ治療を希望していない人
・体に負担をかけずにワキガ治療をしたい人
・日常生活に支障がでない範囲で治療を行いたい人
・毎日制汗剤を利用している人
・汗ジミを防ぎたい人
など
子どももボツリヌストキシン注射のワキガ治療を受けられる?
子どもでも、ボツリヌストキシン注射によるワキガ治療を受けることは可能です。しかし、子どもは注射への恐怖心があったり痛みを感じやすかったりするため、嫌がるケースが多く見られます。また、繰り返し治療を行う必要があるので、ストレスが大きくなることもあります。
最近では切らずにワキガを治せる治療方法も出ているので、子どもの負担を考えて選択されることが増えています。
ボツリヌストキシン注射のワキガ治療は痛い?
治療ではボツリヌストキシン注射をワキに数回打ちます。通常使用される注射針よりもさらに細い針が使われるため、痛みはそれほど強いものではありません。
治療前にアイシング(冷却)を行うので、ほとんどの方は麻酔を使用せずに治療を受けています。痛みに弱い方は、希望すれば麻酔を処方してくれるので事前に相談してみましょう。
ボツリヌストキシン注射によるワキガ治療の流れ
ボツリヌストキシン注射によるワキガ治療では、まず針を刺す位置にマーキングをします。次に、これに沿って数カ所、薬剤を注入していきます。個人差はありますが、片側で15~20カ所程度に注入します。
治療自体は10分程度で終えることができます。治療の前後に冷却のための時間がかかるので、全体では20~30分程度となります。治療後はすぐに帰宅することが可能です。シャワーや入浴は当日から使用できます。
ボツリヌストキシン注射の副作用は?
ボツリヌストキシン注射をした後は、針を刺したところに一時的に赤みが出ることがありますが、ほとんどの場合はすぐに引きます。人によっては、注射跡に内出血が見られることもありますが、数日程度で治まります。
ワキにボツリヌストキシンを注入すると、ワキの汗が抑えられる分、そのほかの部位からの汗が増えるのでは?と心配になる方もいるかもしれません。しかし、ワキにある汗腺は全体の2%程度です。汗はほかの部位の汗腺に分散されるため、ほとんどの場合、気づかない程度です。
ボツリヌストキシン注射のワキガ治療にかかる費用は?
ワキガ治療のためのボツリヌストキシン注射は、基本的に保険は適用されません。ただし、多汗症と診断された場合は保険が適用されます。
ボツリヌストキシン注射にかかる費用は、使用される薬剤の種類や技術代などによって変わるため、クリニックによって費用に差があります。費用の相場は次の通りです。
両ワキ/1回
A院:24,940円
B院:43,000円
C院:78,000円
D院:75,600円
注意が必要なのは、治療費用が格安の場合です。ボツリヌストキシンには非常に安価なものもありますが、期待した効果を得られずトラブルが起きているケースが見受けられます。信頼できる薬剤を使用しているか、事前にチェックしておくことをおすすめします。
ボツリヌストキシン注射のワキガ治療に失敗しないためには?
ボツリヌストキシン注射のワキガ治療は手軽に受けやすいというメリットがありますが、じつはクリニックによって治療の効果に大きな差が出ることがあります。クリニックを選ぶ際は、以下のチェックポイントをしっかり見て決めることが大切です。
医師がしっかりマーキングを行っているか
治療範囲を決めるマーキングは、とても重要です。範囲が小さいとボツリヌストキシンを注入できない部分が出てくるため、せっかく治療を受けても十分な効果を得ることができません。
また、薬剤をまんべんなく浸透させるには、できるだけ細かくたくさんの箇所に注入する必要があります。まばらにならないように的確な注入を行っているか、医師が丁寧に治療しているかといった点をしっかりチェックしましょう。
ボツリヌストキシンは信頼できる薬剤を使っているか
ボツリヌストキシン注射は定期的に繰り返す必要があるので、できるなら安く治療を受けたいというのが本音でしょう。しかし、値段だけを見て決めると、信頼性の低い薬剤が使用されていたり注入量が十分でなかったりするケースが懸念されます。
安全性の高い薬剤が使用されているか、注入量は少なくないかという点も確認しておきましょう。
治療の前後にアイシング(冷却)をしてくれるか
ボツリヌストキシンの治療自体は10分程度で終わるものです。しかし、痛みに配慮しているクリニックでは、治療の前後にしっかり時間をかけてアイシング(冷却)を行っています。
また、アイシングには炎症を防ぎ、肌への負荷を下げる効果もあります。こうした対応をしっかりしてくれるクリニックは信頼できるといえるでしょう。
アフターケア体制があるか
ボツリヌストキシン注射のワキガ治療には、重大な副作用やリスクはありませんが、トラブルが起きる可能性はゼロではありません。万が一、副作用やトラブルがあった場合に、迅速に対応してくれるか、アフターケアが充実しているかを事前に確認しておくと安心できます。
カウンセリングでリスクも説明しているか
とくに初めて治療を受けるときは、いろいろな疑問や不安を抱えているものです。カウンセリング時に、医師がしっかり治療内容を説明してくれるか、メリットだけでなくリスクについても情報を提供しているかという点は重要なポイントです。
患者の目線で対応してくれるクリニックであれば、安心して治療を受けることができます。カウセリングの対応をチェックして、信頼できる医師、クリニックを選ぶようにしましょう。
ワキガで悩んでいる方は、まずは無料カウンセリングを
ワキガは遺伝や体質によるものなので、一人で対処するのは難しく、深刻な悩みにつながっているケースも少なくありません。とはいえ、手術をしたり数十万円の費用をかけて治療を受けたりするのは勇気がいるという方も多いでしょう。
そんな悩みを持っている方は、まずはボツリヌストキシンのワキガ治療を試してみるのもよい方法です。根本的にワキガを治すことはできませんが、軽度の場合は、ボツリヌストキシン注射で十分な効果を感じている方もいます。また、通年で受けなくても、汗をかきやすい春夏に1回だけ治療を受けている方も少なくありません。
ワキガの程度は自分だけでは判断が難しいものです。どのような治療が適しているのかを知るためにも、まずは無料カウンセリングを利用するなどして、医師に相談してみることをおすすめします。