傷跡を治して人目を気にせず過ごしたい方へ。傷跡治療の種類・費用を解説
この記事でご紹介すること
リストカットや根性焼き、帝王切開などの傷跡を治したいという声は少なくありません。普段の生活のなかで人目が気になったり、自信を持てなくなったりといった場面もあるでしょう。
一度できてしまった傷跡は、残念ながら元通りの状態に戻すことはできません。しかし、傷跡治療を受けることで、ほとんど分からない状態まできれいにすることができます。ここでは、傷跡治療の種類や費用について詳しくご説明します。
どのような治療を受けたらよいのか分からないという方も、ぜひ参考にしてください。
このような悩みを抱えている方は傷跡治療を
傷跡は消せないと思い込み、悩みを抱えたまま過ごしていることもあるようです。現在は、傷跡を目立たなくする医療技術が進歩しています。次のようなことで悩んでいる方は、傷跡治療を行っているクリニックに、ぜひ相談してみてください。
- 傷跡を見るたび過去を思い出して憂うつになる
- 温泉やプールなど、肌を露出するところに行けない
- 就職活動において不利にならないか心配
- 会社などで人の目が気になる
- 結婚する前に傷跡を治したい
- 帝王切開の跡が気になりセックスレスになっている
傷跡の種類と適した治療法とは?
傷跡の種類によって、適した治療法は異なります。傷跡の特徴から、どのような治療法があるのか見ていきましょう。
リストカットの跡
様々な理由から、自傷行為として行ったリストカット跡が残ってしまい、後々まで悩みを抱えてしまう方が少なくありません。切り傷が線のように残り、人によっては複数の傷跡が残っていることもあります。
リストカット跡を目立たなくする傷跡治療には、以下のものがあります。
- エルビウムヤグレーザー
- フラクショナルレーザー
- 切除法
根性焼きの跡
タバコの火を押し付けることでできてしまう根性焼きは、「根性を見せる」ということから、このように呼ばれています。しかし現在では、様々な事情で不本意に傷跡が残ってしまったというケースも少なくありません。
根性焼きの跡は、円形の火傷跡です。適している治療法には以下のものがあります。
- エルビウムヤグレーザー
- フラクショナルレーザー
- 切除法
帝王切開の跡
帝王切開の傷跡は、縦横の切開方法によって目立ち方が変わります。縦のほうが胎児を取り出しやすいというメリットがある反面、傷口が後々まで目立ちやすい傾向があります。傷口の形状も、縦切開の場合は皮膚が赤く盛り上がっているケロイド状になることが多くなっています。
帝王切開の傷跡を目立たなくする治療法には、以下のものがあります。
- ケナコルト注射
- 切除法
傷跡治療の種類と特徴
傷跡を目立ちにくくする治療法には、レーザー治療、再生療法、切除法、ケナコルト注射があります。それぞれの治療法の特徴を見ていきましょう。
エルビウムヤグレーザー
エルビウムヤグレーザーは、皮膚の表面を薄く削り取り、肌の再生力を利用して傷跡を目立たなくする治療法です。レーザーを照射すると肌の水分に反応して熱が生じ、傷跡部分の組織を削ります。新しい皮膚が再生する過程で、傷跡が目立ちにくくなっていきます。
レーザー熱の刺激を受けにくい仕組みとなっているため、施術中の痛みはほとんどありません。また、周囲の皮膚へのダメージがほぼないため、ダウンタイムが短く、色素沈着などのリスクも少ないという特長を備えています。
レーザー照射後は、軟膏で皮膚を守ります。患部を濡らさなければ、当日からシャワーを使用してもかまいません。
エルビウムヤグレーザーの治療経過
レーザー照射をした後は、すり傷のような状態となります。約1週間はガーゼで保護する必要があります。3日程度経過すると、かさぶたができ始めます。2~3週目ころになると、かさぶたが自然に剥がれ、新しい皮膚が再生されてきます。
個人差はありますが、3~6カ月で徐々に赤みがとれ、周囲の皮膚の色になじんできます。
フラクショナルレーザー
フラクショナルレーザーは、患部に点状のレーザーを照射してミクロ単位の極小さな穴をいくつも開け、治癒力によって新しい皮膚への生まれ変わりを促す治療法です。穴を埋める過程で皮膚が収縮するため、凹凸のある傷跡を目立たなくすることができます。傷跡治療のほかにも、クレーター状になっているニキビ跡の治療に使用されることもあります。
レーザー照射時に痛みをともなうため、局所麻酔や表面麻酔を使うことが多くなっています。麻酔が切れると痛むことがありますが、日常生活には影響が出ない程度です。周囲の皮膚組織を傷めることがなく、ダウンタイムも短くなっています。
治療後は、ガーゼやテープなどで肌を保護します。シャワーの使用は施術の翌日から可能です。
フラクショナルレーザーの治療経過
施術当日から2日間程度は、赤みや腫れの症状が強く現れます。3日目ころから赤みや腫れが引き、少しずつ新しい皮膚が再生されます。
約1週間経過すると、小さな点状のかさぶたができてきます。皮膚が乾燥しているように感じますが、無理に剥がさず保湿ケアを行うようにしてください。
PRP再生療法
PRP再生療法とは、自分の血液から血小板を採取し、傷跡に注入することで皮膚を強力に再生していく治療法です。
血小板は出血を止める役割で知られていますが、このほかにも組織の修復やコラーゲン合成などの働きがあります。傷跡に注入することで皮膚の再生力が高まり、傷跡が目立ちにくくなっていきます。
自分の血液を使用するため、副作用のリスクが少ないのも特長です。傷跡治療のほか、骨折や関節疾患、美容目的など多くの分野で活用されている方法です。
治療では、採血注射を行ったあと血小板を採取し、傷跡がある組織に注入していきます。
リジェネラ
リジェネラもPRP再生療法と同じく、傷跡に皮膚の再生を促す成長因子を注入することで目立ちにくくしていく治療法です。
リジェネラでは、健康な部分の皮膚からヒアルロン酸やコラーゲンを生成する成長因子を採取して注入します。皮膚を修復する機能が高まり、ターンオーバーとともに傷跡を改善していきます。自分の細胞を使用するので副作用の心配はありません。
リジェネラは、加齢によって衰えた細胞を活性化し、シワやたるみを改善する美容法としても人気があります。
切除法
切除法は、傷跡がある部分の皮膚を切り取り、周囲の皮膚を伸ばして縫い合わせ、もとの傷跡を目立たなくする方法です。リストカットや根性焼きがある部分に切除法を用いることで、何による傷か分かりにくくすることができます。また、凹凸がある傷跡を目立たなくするために行うこともあります。
皮膚が伸びにくい部位にある場合は、数回に分けて皮膚を伸ばしながら分割切除することもあります。再生療法と組み合わせることで、施術後の傷跡の回復を早めることができます。
施術は、局所麻酔をした後、傷跡を切除して縫い合わせるという流れです。施術時間は範囲や部位により異なりますが、約1時間が目安となります。シャワーは施術の翌日から可能、入浴は抜糸後から可能になります。
切除法の治療経過
施術当日は包帯で患部を保護します。翌日以降はガーゼやテープを交換しながら、衛生に保ちます。抜糸は1週間後です。傷口がふさがるまでは安静を保つようにしましょう。
ケナコルト注射
ケナコルト注射はステロイド剤で、ケロイド状に盛り上がっている傷跡を目立たなくする治療法です。ケロイド体質の方の場合は切除法で切り取ると、その傷口がさらに大きなケロイドになってしまいます。そのため、ケナコルト注射を使用して盛り上がっている部分をへこませるようにします。
ケナコルト注射は傷跡に直接注入するため、塗り薬などよりも高い効果を得ることができます。ただし、効果が強すぎた場合、逆に傷跡が陥没してしまうことがあります。そのため、医師の的確な診断力が求められます。
また、ステロイドには副作用があります。周囲の皮膚を薄くしてしまう、女性の場合は月経不順などの症状が見られることもあるため注意が必要です。
ケロイド状の傷跡は皮膚が硬くなっているため、注射時に強めの痛みを感じます。シャワーは施術当日から可能、入浴は翌日以降からとなります。
ケナコルト注射の治療経過
ケナコルト注射は、1カ月に1回程度の頻度で繰り返し行います。傷跡の状態によりますが、3~5回程度の治療が必要となります。3カ月から6カ月ほどで、周囲の皮膚になじみ、目立ちにくくなります。
傷跡の治療にかかる費用は?
傷跡治療にかかる費用は、傷跡の状態や大きさ、肌質などによって大きく変わります。ここでは、おおよその目安となる費用相場を紹介していきます。
エルビウムヤグレーザーの費用
1㎝あたり/1回
A院:15,000円
B院:38,000円
C院:50,000円
D院:10,000円
フラクショナルレーザーの費用
1㎝あたり/1回
A院:22,000円
B院:40,000円
C院:50,000円
D院:40,000円
PRP再生療法の費用
1回あたり
A院:80,000円
B院:50,000円
C院:60,000円
D院:40,000円
リジェネラの費用
1カ所あたり
A院:250,000円
B院:300,000円
C院:280,000円
D院:100,000円
ケナコルト注射の費用
0.1ccあたり
A院:20,000円
B院:7,500円
C院:10,000円
D院:10,000円
切除法の費用
1㎝あたり
A院:60,000円
B院:48,000 円(2cmまで)
C院:60,000円
D院:50,000円
施術以外にかかる費用はある?
施術費以外にかかる費用には、カウンセリング料、初診料・再診料、薬代、麻酔代、アフターケア代(包帯や軟膏など)などがあります。
クリニックによって、これらを施術費用と別料金にしている場合と、込みの料金設定にしている場合があります。表示されている金額だけで判断せず、しっかり比較することをおすすめします。
傷跡治療は信頼できるクリニックを選ぶことが大切
傷跡には様々な形状があり、肌質も人それぞれ異なります。そのため、自己判断で治療方法を決めることは困難であり、かつリスクをともなうため、必ず医師の診断を受けるようにしてください。
傷跡をより目立たない状態にするには、症状に合わせて治療方法を見極める医師の診断力と技術力が必要となります。個々に適した治療を提供するうえでは、医療機器の充実や対応できる治療法の種類も大切です。また、アフターケアによって、仕上がりに差が出ることもあります。クリニックを選ぶときは、これらの要素をしっかり確認することがポイントになってきます。
複数のクリニックのカウンセリングを受けてから、不安や疑問をしっかり解消してくれるクリニックを選ぶのも良い方法です。傷跡治療にかかる費用も大切ですが、しっかり悩みを解決してくれる、信頼のおけるクリニックを選ぶことが後悔しない選択方法です。
傷跡治療では様々な事情や深い悩みを抱えている方もいるため、他の人に治療内容を知られたくないというケースも多いでしょう。こうしたプライバシーにもしっかり配慮してくれるクリニックを選ぶことをおすすめします。