もしかしたら、自分も……。すそわきがの特徴と治療法とは？

この記事でご紹介すること

お手洗いのときや着替えをしているとき、自分のデリケートゾーンの臭いが気になったことはありませんか？

デリケートゾーンの臭いは汗や蒸れによって起こることもありますが、洗っても臭いが落ちない場合、それは単なる体臭ではなく、すそわきがかもしれません。
すそわきがとは、陰部周辺でワキガ臭が発生している状態のことをいいます。パートナーに指摘されて初めて気づく方もおり、自覚症状がない場合もあります。

今回は、すそわきがに関する基礎知識や見分け方、具体的な対処方法について解説していきますので、「もしかしたら、私、すそわきがかも……」と悩んでいる方はぜひ、参考にしてみてください。

デリケートな話だけに、人に聞けない、すそわきが

そもそも、すそわきがとは？

すそわきがとは、陰部周辺でワキガ臭が発生している状態のことをいいます。とはいえ、もともとデリケートゾーンは生理やおりものの影響が出やすい場所。下着で蒸れて臭いが強くなっているだけ……という可能性もあります。

すそわきがの特徴

すそわきがは、陰部周辺からワキガのような臭い、玉ねぎのようなツンとした臭い、アンモニア臭がするのが特徴です。中には、鉛筆の芯やスパイスのような臭いがするという人もいます。男性よりも女性に多い症状というのも特徴といえるでしょう。

すそわきがの原因

すそわきがの臭いは、ワキガの原因となるアポクリン腺と呼ばれる汗腺から分泌した汗が常在菌によって分解されることで、発生します。

アポクリン腺は脇や陰部、耳の中、乳輪などにあり、遺伝によって数が決まるため、臭う人・臭わない人がいるのです。

一方で、実際はすそわきがではないのに、「自分はすそわきがかもしれない……」と悩まれてしまう方も多くいます。考えすぎやストレスなどによって余計に汗が分泌されると、臭いの症状を悪化させてしまうこともあるので、注意が必要です。

すそわきがの見分け方

デリケートゾーンの臭いは自分で鼻を近づけてかいだり、人と比較したりするのが、難しいものです。「すそわきがかな？」と思ったら、次のポイントを調べてみてください。当てはまるものが多ければ、もしかすると、すそわきがかもしれません。

すそわきがのセルフチェックポイント

・家族にワキガ体質の人がいる
・ワキや乳輪の臭いが気になる
・洋服や下着に黄色い汗ジミがつくことがある
・ パートナーにデリケートゾーンの臭いを指摘された
・耳垢が湿っている

当てはまる点は少ないけれど、どうしても臭いが気になる……という方は、ビキニラインの陰毛が生えている部分にガーゼなどを当てて、一日過ごしてみましょう。ガーゼに臭いがついていたら、すそわきがである可能性が考えられます。

大きく分けて2つある、すそわきがの改善方法

すそわきがを改善する方法は、「臭いを軽減させる方法（対処療法）」と「臭いをなくす方法（根本的な治療方法）」の2種類です。それぞれ、効果の持続期間や身体への負担などが異なります。

臭いを軽減させる5つの方法（対処療法）

臭いがそれほど強くない場合、まず臭いを軽減させる方法を試してみてください。

脱毛

体毛が濃い部分には、アポクリン腺が多く存在しています。さらに体毛が濃く太い場合、毛穴も大きくなるため、臭いの元となる汗の量も増えることにもなります。また、陰毛についた常在菌の数も増え、蒸れやすくなるなど、陰毛が濃い状態はすそわきがの原因をつくりやすくしてしまっているといえるでしょう。

ちなみに、VIO脱毛やハイジニーナ脱毛をすることで、すそわきがの臭いが軽減することがあります。

デリケートゾーンをきれいに洗浄する

ワキガの臭いを抑える成分を配合した洗浄料などでデリケートゾーンを洗い、臭いを軽減する方法ですが、すそわきがの臭いは洗っても落ちないことが多いため、洗浄料で改善する場合、そもそもすそわきがではない可能性があります。

すそわきが用の市販デオドラント剤でケアする

すそわきがは、消臭・滅菌作用のある成分を配合した市販のデオドラント剤でケアすることもできます。ただし、デオドラント剤の効果は使用している間だけ臭いを抑える一時的なものなので、留意してください。

食生活や生活習慣の見直し

脂肪分や動物性たんぱく質の多い肉中心の食事はアポクリン腺を肥大させ、臭いを悪化させることがわかっています。普段の食生活を、魚や野菜を中心にした脂肪分の少ない和食に切り替えれば、すそわきがの臭い軽減に役立つでしょう。

また、タバコに含まれるニコチンは、交感神経を刺激してアポクリン腺から分泌される汗の量を増やし、間接的にすそわきがやワキガを悪化させます。すそわきがやワキガのトラブルに悩んでいる方は、禁煙を考えてみてはいかがでしょうか？

おりもの専用シートを交換する

おりものが多く、臭いが気になるという場合、おりもの専用シートを使用することで臭いが軽減することもあります。ただし、長時間変えずにいると蒸れを引き起こし、膣内の常在菌のバランスを崩してしまう可能性があるので、注意してください。

また、臭いの強いおりものは婦人科系疾患が隠れていることがあります。症状が長引く場合は、婦人科の診察を受けるようにしましょう。

臭いをなくす方法（根本的な治療方法）

すそわきがの臭いを軽減する方法は継続的なケアが必要となり、根本的な解決にはなりません。すそわきがで深刻な悩みを抱えている方は、次の根本的な治療法も検討してみてください。

注射による治療法（ボツリヌストキシン注射）

他と比べて治療費が安いのが、ボツリヌストキシン注射と呼ばれる治療法です。ボツリヌス菌から抽出された害のない成分を注射することで汗腺の働きを抑制し、臭いの元となる汗の分泌を抑えます。

施術時間は短く、ダウンタイムもありません。また、傷跡が残らないのは、うれしいポイントです。しかし、効果の持続期間は半年程度なので、効果を継続させたい場合、再び、注射を打つ必要があります。

治療費を抑えつつ、身体に負担の少ない方法を選びたい方に適した治療方法といえるでしょう。

ビューホット

特徴
・費用は350,000円前後
・施術時間が短く、傷跡は残らない
・約95％が効果を実感、再発は少ない

フラクショナルRF（高周波）でアポクリン腺とエクリン腺を破壊し、臭いと汗の量を一度の施術で抑える方法です。

極細の針を装着したカートリッジを患部に当てて照射を行うため、切開をする必要がなく、身体への負担は最小限です。また、麻酔を使用するので、痛みを感じずに治療できます。

施術後、2～3日赤みが残りますが、傷跡になる心配はありません。臭いを抑える効果が高いので、1回の治療で効果を出したい方におすすめです。

ウルセラドライ

特徴
・費用は350,000円程度
・施術時間が短く、傷跡は残らない
・1回で完治する人も多いものの、2回以上の施術が必要なことも

たるみの治療や肌の引き締めにも使用される、高密度焦点式超音波（HIFU＝ハイフ）を使った治療方法です。

エコーで位置を確認しながら照射することで、汗腺をピンポイントでなくすことができます。また、麻酔を使用するので、痛みをほぼ感じずに治療することが可能です。

施術後、軽い熱傷が起こりますが、傷跡が残ることはありません。身体への負担も少なく、少ない治療回数で効果が出やすい方法です。

ペアドライ

特徴
・費用は380,000円程度
・施術時間が短く、傷跡は残らない
・1回の治療で高い効果を発揮。効果は長期間持続

ビューホットのフラクショナルRFとウルセラドライの超音波を組み合わせた中央クリニック独自の治療方法です。

ウルセラドライではアポクリン腺を中心に、ビュー ホットではエクリン汗腺を中心にアプローチ。2つの方法を組み合わせることで、照射漏れを最小限に減らします。局所麻酔を使用するので痛みもなく、1回の治療で高い効果が出る、人気の治療方法です。

電気凝固法

デリケートゾーンの体毛に沿って針を刺し、電気を流すことでアポクリン汗腺を凝固させる治療法です。アポクリン腺だけではなく、臭いのない汗を分泌する「エクリン腺」も凝固させるため、汗全体を減らすことができるのは、特徴といえるでしょう。同時に、体毛を作る毛乳頭を破壊するので、永久脱毛効果がある方法です。

なお、電気凝固法で治療する場合、臭いが軽減する効果の現れ方を見ながら、治療回数を判断する必要があります。
費用は治療回数、範囲によって異なりますので、医療機関に確認してください。

剥削法（シェービング）・切除法

特徴
・費用は350,000円程度
・切開するため、色素沈着が起こることも……
・術後、長期のダウンタイムが必要
・傷跡が残る可能性がある

皮膚を小さく切開し、 アポクリン腺とエクリン腺を取り除く方法です。

汗腺を除去することで、完治に近い効果が期待できますが、確実に治療行うためには高い技術が必要になります。また、1回の施術では効果が感じられないケースや傷跡が残る場合もあります。

すそわきがの治療方法、どうやって選ぶ？

思っていたよりもたくさんの治療方法があって、どれにしたらいいのかわからない……と感じた方もいるのではないでしょうか？
最適な治療方法は、臭いがどの程度のレベルなのかによって異なります。

症状が軽度で費用をなるべく抑えたい、身体に負担をかけたくないというのであれば、まずは注射治療から医師に相談してみるのもよいでしょう。

根本的な治療方法としては、剥削法（シェービング）・切除法が確実です。しかし、切開が必要で汗腺の取り残しがあることには、留意しなければなりません。

治療のために何度も通院できない。費用がかかってもいいから、一度で治したい。でも、傷が残るのは、嫌……という方は、身体への負担が少なく、剥削法（シェービング）・切除法に近い効果が得られるビューホットやウルセラドライ、ペアドライなどの長期的な効果が出る方法を検討してみるとよいでしょう。

すそわきがQ&A

「私って、もしかして、すそわきが？」。そう思っていても、実はすそわきがではなかったり他の病気が隠れていたりすることがあります。また、 間違ったお手入れを続けていると、症状の悪化や別のトラブルを招くことも……。

この章では、すそわきがに関するよくある質問をまとめてみました。すそわきがのお悩みや疑問の解決につなげてください。

Q.下着を変えるときの臭いが気になります。いつも「おりものシート」が必要なのですが、これは、すそわきがでしょうか？

A.生理前や排卵期におりものが増えるのは、正常な現象です。

ただし、生理周期に関係ないおりものは、婦人科系の疾患や感染症が隠れているおそれがあります。特に臭いのするおりものには、注意が必要です。
茶色っぽいおりもので臭いやかゆみがある場合 、トリコモナス膣炎の可能性があります。濃い黄色や緑がかったおりもので臭いがある場合は、子宮頸がんや子宮体がんが隠れているリスクも否定できません。おりものが続くときは、早めに婦人科の診察を受けてください。

Q.生理中でも仕事柄、頻繁にトイレに行くことができず、我慢しがちです。生理後に使用する膣内の洗浄剤を毎日使えば、臭いは抑えられますか？

A.膣内は、デーデルライン桿（かん）菌などの常在菌によって弱酸性にキープされており、自浄作用があります。

日常的に膣内の洗浄をすると、細菌バランスが変化し、自浄作用が弱まります。結果、雑菌が侵入しやすくなり、かえって臭いが強くなることがあります。そのため、頻繁に洗いすぎるのは避けた方がよいでしょう。

Q.デリケートゾーンの臭いが気になります。シャワートイレなどで頻繁に洗ったり、デリケートゾーン用のニオイケア石鹸で洗ったりすることは問題ありませんか？

A.デリケートゾーンの洗いすぎは、NGです。

膣内は常在菌によって弱酸性に保たれていますが、洗いすぎると常在菌が減ってしまい、逆に殺菌作用が弱まってしまうことがあります。アルカリ性の石鹸やドラッグストアで売られているようなボディソープは刺激が強すぎることもあるため、過度の使用は避けた方がよいでしょう。

Q.デリケートゾーンのアンモニア臭が気になります。すそわきがでしょうか？　また、排尿後の正しい拭き方を教えてください。

A.アンモニア臭だけですそわきがと診断するのは、間違いです。

ただし、デリケートゾーン周辺は尿に含まれるアンモニアや尿素など、不快な臭いの元になる成分が多い箇所です。アポクリン汗腺が多い人にとっては臭いが強くなりやすい場所ともいえます。

排尿後は「前から後ろに向かって拭き取る」のが正しいと考えている方が多いのですが、トイレットペーパーを押し当てて拭き取るのが正しい方法です。前から後ろにこすることで粘膜に炎症が起きて臭いの原因になる場合もあるので、注意しなければなりません。

Q.医療機関でワキガ対策用に『パースピレックス』という制汗剤をすすめられました。これは、すそワキガにも使えますか？

A.使えません。

肌に刺激を与えやすいザモールや塩化アルミニウムが使用されているため、敏感で粘膜に近いデリケートゾーンには適していません。

Q.いきなり、すそわきがになることは、ありますか？

A.すそわきがの原因は遺伝による体質的なもの。いきなりなることは、まず、ないでしょう。

ただし、ホルモンの影響を受ける思春期など、ある時期から急に臭いが気になることは考えられます。

Q.すそわきがの治療は、保険適用になりますか？

A.すそわきがの治療は保険適用にならないことがほとんどです。

ワキガの治療は注射治療、切開手術に限り保険適用となります。

まとめ｜大切なことは、すそわきがの正しい理解とクリニックの選び方

クリニックは限られているものの、最近では切らないすそわきがの治療法も増えています。

一人で悩みを抱えず、まずはすそわきがの治療例が多く、まずは治療の種類がいくつかあるクリニックでカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか？

すそわきがに悩んでいる患者様からは、「婦人科や泌尿器科、内科などどこで診察を受けていいのかわからなかった」「別の病院で『気にしすぎです』と言われて、治療してもらえなかった」「パートナーや周囲の人から心ない言葉をかけられた」といった声がよく寄せられます。

クリニックを選ぶときは、よく話を聞いてくれそうか、プライバシーを重視したカウンセリングや診察を受けられるかどうかも忘れずにチェックしてください。