切る?切らない?すそわきがの基本的な治療方法とメリット・デメリットを紹介
この記事でご紹介すること
今回取り上げるすそわきがは、「自分でも臭いが気になっていたけれど、パートナーの指摘で治療を検討するようになった」というケースが多い症状です。「すそわきがの臭いがパートナーとの関係に影響するのでは?」と心配になる方もいるでしょう。
では、どのようにすれば、すそわきがは治るのでしょうか?今回は最新のすそわきがの治療事情と、治療跡ができず、身体への負担も少ないすそわきがの「切らない治療法」を取り上げます。
すそわきが治療が必要になるのは、どんな人?
「すそわきが」は、体臭トラブルの中でも特に深刻な悩みになりやすい症状の一つです。
パートナーに指摘されて本格的な治療を考えたいという方はもちろん、市販のデオドラント剤を使っても効果が感じられず、自分でどんなケアをしていいのか分からない、あるいは自分が本当にすそわきがなのか分からないといった方がすそわきが治療のカウンセリングを受けることも、少なくありません。
珍しい症状と思われがちですが、実は男性女性ともに学生や社会人、主婦といった20~40代までの幅広い年齢層の方が治療を受けているのが現実です。
すそわきが治療の種類
すそわきがの治療には、大きく分けて「切らない方法」と「切る方法」の2つがあります。いずれも、臭いの元となる汗を分泌するアポクリン腺や、臭いのない汗を分泌するエクリン腺、または皮脂腺などにアプローチして、すそわきがの臭いを抑えます。
切らない、すそわきがの治療法
- 超音波や高周波、電磁波などの機器を使う方法
- ボツリヌストキシン注射
- 電気凝固法
切る、すそわきがの治療法
- デリケートゾーンを切開して、臭いの元となる汗腺を取り除く方法
- 小さく切開した部分から汗腺を取り除く方法
- 数センチ切開して医師が目で確認しながら汗腺を取り除く方法
どの治療法を選べばよいのか、その判断をするためには、専門医のカウンセリングを受けることが最も有効です。
とはいえ、やはり費用面やダウンタイム(施術してから回復するまでの期間)の長さなど、不安に駆り立てられる材料は、たくさんあるでしょう。
次の章では、代表的なすそわきがの治療方法、メリット・デメリットやおおまかな費用などについて、ご説明します。
切らないすそわきが治療
超音波や高周波、電磁波などの機器を使う方法
「小さな傷であっても、 デリケートゾーンに傷跡が残るのは、嫌だ」
「臭いを軽減するだけではなく、根本的にすそわきがを治療したい」
こうした患者様の思いやニーズに応えるのが、切らないすそわきが治療です。
切らないすそわきが治療は、ビューホット、ウルセラドライ、ペアドライ、電磁波などが代表的です。どの方法も臭いの元となるアポクリン汗腺を破壊するため、切る治療法と同様の高い治療効果が期待できます。体に傷跡を残したくないという方には最適の方法といえるでしょう。
ダウンタイムが短く、身体への負担が少ないのも、大きなメリット。お子様への治療にも適しています。
一方、重度の患者様の場合、1度の治療で全ての汗腺を破壊することができず、複数回治療が必要になることもあります。ただし、ほとんどの患者様は1.2回の治療で完治します。また、切らないすそわきがの治療の医療機器は最新の機器であるため、どこのクリニックでも治療が受けられるわけではないことを、覚えておきましょう。
ビューホット
高周波を使用した治療法です。
肌の表面である表皮層に医療用の細い照射針を刺し、高周波を照射してエクリン腺とアポクリン腺を熱変性させ、破壊します。その結果、臭いの元となる汗の分泌が減り、臭いの改善につなげます。
なお、照射針は深さの微調整が可能で、適切な出力と深度で照射することができます。
汗腺のみに限定的にアプローチするため、肌の他の組織にダメージを与えることがありません。さらに、95%の方が効果を実感している、優れた治療法です。
- 施術時間:20分程度
- ダウンタイム:ほぼなし。施術後は針の痕に小さなかさぶたができるものの、自然に治る
- 効果の持続:半永久的。ただし、人によっては2回以上の施術が必要になることもある
- 費用:35万円程度
- 治療跡:残らない
ウルセラドライ
顔のたるみの治療に使用されるHIFU(ハイフ。高密度焦点式超音波)を使用した治療法です。
アポクリン腺やエクリン腺などが存在する層の深さに合わせて、集中的に高密度超音波を照射し、汗腺を破壊しますが、その際、超音波を小さな焦点に集めて皮膚に照射します。そのため、漠然と患部に照射するのではなく、発汗する位置を確認しながら打ち漏らしがないように照射する高い技術が必要となります。
なお、麻酔を使用するため、施術中の痛みはありません。
- 施術時間:40分程度
- ダウンタイム:ほぼなし。当日は赤みやヒリヒリ感がある
- 効果の持続:1回の治療で効果が得られるが、人によっては2回治療を要することも
- 費用:35万円程度。2回目の治療は安くなることが多い
- 治療跡:残らない
ペアドライ
ペアドライは、ビューホットとウルセラドライを組み合わせた中央クリニック独自の治療法です。
ビューホットで打ち漏らしが起こる可能性のあるアポクリン腺をウルセラドライでカバーし、ウルセラドライでは刺激が強すぎてしまう浅い層にある汗腺をビューホットで破壊します。ビューホットとウルセラドライ、それぞれが効果的にアプローチできる皮下層の深さの違いを生かし、それぞれの治療方法のメリットを生かしつつ、お互いのデメリットをカバーした効率的かつ効果が高い治療法が、ペアドライといえるでしょう。
- 施術時間:40分程度
- ダウンタイム:ほぼなし。当日は赤みやヒリヒリ感がある。施術後は針の痕に小さなかさぶたができるものの、自然に治る
- 効果の持続:1回の治療で効果が得られる
- 費用:38万円程度
- 治療跡:残らない
ボツリヌストキシン注射
ボツリヌストキシンと呼ばれる製剤を、外陰部周辺や陰毛が生えている部分などのデリケートゾーンに注射する治療法で、すそわきがの臭いの原因となる汗を分泌するアポクリン腺や、無臭の汗を分泌するエクリン腺の働きを弱め、臭いを減らしていきます。汗の量を減らすこともできます。
麻酔クリームを使用した上で極細の針を使って少しずつ注射していくので、痛みはそれほど強くありません(治療前後にアイシング〈冷却〉を行い、麻酔クリームを使用しない場合もあります)。
ボツリヌストキシン注射の効果は、治療後2~3日後から徐々に現れ徐々に現れ、半年程度、持続します。 クリニックによっては、すそわきがのボツリヌストキシン注射は行っていないところもあるので、事前に確認が必要です。
- 施術時間:15分程度
- ダウンタイム:ほぼなし。術後は注射の痕が数日残るのみ
- 効果の持続:4~6カ月程度。効果を持続させるためには、繰り返し治療を受ける必要がある
- 費用:1回12~20万円程度
- 治療跡:残らない
電気凝固法
針脱毛に使用する絶縁針を陰毛の毛穴に剃って刺し、電気を流してアポクリン腺を破壊する方法です。
また、アポクリン腺だけでなく、臭いのない汗を分泌する「エクリン腺」も凝固させるため、汗全体を減らすことができます。
毛穴の数に応じて施術を行うため、1回の施術時間が長く何度かに分けて治療をする必要があります。
- 施術時間:クリニックによる
- ダウンタイム:ほぼなし。ただし、人によって跡が残る場合もあります。
- 効果の持続:治療が完了すれば効果は半永久的
- 費用:1回10万円程度(通常治療回数3~5回)
- 治療跡:人によっては針の刺し跡が残ることもあります。
手術によるすそわきが治療
デリケートゾーンの皮膚を一部切開してアポクリン腺、エクリン腺を除去し、臭いを減らす方法です。
除去・シェービング法
皮膚をごく小さく切開し、そこから特殊な医療機器を挿入して アポクリン腺、エクリン腺、皮脂腺を除去する方法です。
臭いの元となる汗腺を物理的に取り除くため、1回の治療で効果が出るだけではなく、再発しにくいというメリットがあります。
しかし、メリットがある一方で、手術をする上で、覚えておかなければいけないこともあります。それは、手術によるダウンタイムが長く、傷跡が残る可能性があるなど体への負担が大きいということです。このような背景から、「切らない」すそわきが治療に人気が集まっています。
麻酔を使用するため手術中の痛みは、ほぼありません。
- 施術時間:40分程度
- ダウンタイム:患部をガーゼやガードルなどで24時間圧迫固定する必要があります。 麻酔が切れると痛みを感じるものの、処方される痛み止めを飲めば治まる程度です。
- 効果の持続:1回の治療で効果が得られ再発が少ない
- 費用:30万円程度
- 治療跡:切開した部分が残ることも
外科手術による直視下摘除法(剪除法・せんじょほう)
こちらは皮膚を数センチ切開し、そこから外科手術用はさみを挿入して、皮膚の裏側にある汗腺を医師が目視で直接確認しながら除去していく手術です。
前章でご紹介した、皮膚をごく小さく切開して施術するシェービング法と比べると、切開部分が大きくなるため傷が残りやすいことが、デメリットとなります。脇の場合、しわに沿って次第に目立たなくなるものの、デリケートゾーンには小さい傷が残ってしまうことになります。
また、他の治療法と比べると若干、手術時間が長く、1時間以上かかります。さらに、直視下摘除法の術後は、4~5日後に圧迫綿の取り外し、10日~2週間後に抜糸のため、計2回程通院する必要があります。すそわきがの治療法の中では、最もダウンタイムが長い方法です。
外科手術による治療法は、すそわきがの臭いが強い方や、これまで他の治療法を試したけれど効果に満足できなかったという方、傷跡が残ってしまう可能性があっても確実に臭いをなくしたいという方に適しています。しかし、手術をおこなうことにより、傷跡などの代償があることはしっかりと覚えておかなければなりません。
- 施術時間:60~90分程度
- ダウンタイム:1週間程度。患部をガーゼやガードルなどで24時間圧迫固定する必要が。 麻酔が切れると 痛みを感じます。
- 効果の持続:1回の治療で効果が得られ再発が少ない
- 費用:40万円程度
- 治療跡:切開した部分に傷跡が残ることもあります。
シェービング法と外科手術による直視下摘除法の違い
シェービング法の中にはアポクリン腺を目で見て確認しない「非直視下」で行うものもあります。
この場合、アポクリン腺の取り残しが起こるリスクが考えられます。
直視下でシェービング法を行うクリニックもありますが、外科手術である直視下摘除法(剪除法)に比べると効果は、医師の技術力で結果に差が出ます。
治療法・クリニックを決めるときに考慮するべきこと
すそわきがの治療法を選ぶときには、以下の点を考慮し、最適な方法を選ぶ必要があります。
・臭いの度合
・痛みの有無やダウンタイムの長さ
・体への負担(痛みや傷跡、麻酔時の負担など)
・予算
手術による、すそわきがの治療は、体への負担がかかることや、ダウンタイムが長く、医師の技術次第では、ワキガ治療後の傷跡に大きな差が出ます。
ワキガの臭いを取ることを優先しすぎて傷跡を残してしまったり、場合によっては壊死してしまう可能性もあるのです。
軽度のすそわきがの方や、通院が可能な方でしたら、ボツリヌストキシン注射による、すそわきが治療から初めて見るのはいかがでしょうか。治療費を抑え、極力体への負担をかけずに治療を試してみたいという方におすすめと言えます。
また、最近では、医療技術の目覚ましい発展から、皮膚を切らずに、手術同様の高い効果が得られる、切らないすそわきがの治療が一般的となってきました。
まずは、医療機関へ行き、どのような施術を受けるべきかどうかを含め、担当医師に相談しましょう。
すそわきが治療は保険適用外
治療を受ける上で注意しておきたい点として、すそわきがの治療は保険適用にはなりません。
保険適用になるかどうかは、「 日常生活に支障があるかどうか」「精神的な苦痛や他の疾患が起きているかどうか」といった点が考慮されます。
脇の臭いや多汗症は周囲の人に気づかれやすく、人間関係などに影響が出やすいため確実に効果が出る切開手術とボツリヌストキシン注射のみ保険適用となっていますが、すそわきがの臭いは周囲の人に気づかれにくいため、保険適応となるクリニックはほぼないと言っていいでしょう。
万が一、施術によりあまり臭いが軽減されず、施術が数回必要になった場合、その分の費用がかさみますが、2回目以降は価格が安く設定されているクリニックもあります。治療を申し込む前に、保証内容なども含めて事前に確認しておきましょう。
医療機器の有無や、治療がすそわきがに適応しているか
超音波や高周波、電磁波などの最新のワキガ治療機はどのクリニックでも導入しているわけではありません。
クリニックによっては受けられない治療もあるので、どんな治療法、治療機があるか確認しておきしょう。ビューホットは診療科目として美容外科や形成外科にある場合が多いです。
外科手術の対応をしているか
クリニックによっては、切開手術を行なっていないところもあります。
また、Vゾーン(デリケートゾーン付近の両足のつけ根あたりを指します)のみ手術対応など、適用箇所が限られている場合もあるため、すそわきが手術の症例数が多いかどうかも治療を受ける前に知っておきたいポイントです。
まとめ|一人で悩まずに、まずは専門医に相談を
ここまで、すそわきがの様々な治療法について見てきました。
いくつもある治療法の中で、あなたにとって最適なものを選ぶためには、まず症状の程度を専門の医師に見極めてもらう必要があります。
その上で根本的な治療を望むのか、臭いを軽減させるだけで十分なのかなど、あなたの希望をはっきり伝えて、リスクを理解した上で最適な治療法を医師に提案してもらいましょう。
最近では切らないワキガの治療法も増えていますが、クリニックによっては切開する手術が得意でないため切らない治療法を推しているというケースや、再発のリスクを最小限に抑える目的で、第一選択肢として切開手術を勧めてくるというケースもあります。
治療をするクリニックを探すにあたっては、ワキガについての知識が豊富で、ワキガ治療の経験が多い医師やクリニックを見つけることが理想です。
こうしたクリニックなら、不要な治療を勧められることもなく、最短であなたの悩みを解決してくれるでしょう。
もしあなたがすそわきがで悩んでいて、自分だけで判断や解決が難しそうならば、一人で悩まず、クリニックで専門の医師に相談をしてみてください。
きっと、解決のためのヒントが得られるはずです。