薬による多汗症治療がはじめやすい?!多汗症治療に重要なこと。それは、多汗症の原因ごとに治療方法を選ぶこと!!
この記事でご紹介すること
手のひらや脇の下など部分的に大量の汗をかいてしまう、多汗症。
ただ汗をかくだけなので、特別、人体に与える影響はありませんが、突然大量の汗をかくため、他人とのコミュニケーションに自信がなくなったり、衣類がビショビショになるなど日常生活において支障をきたす恐れがあります。
治療をしなければいけないとはわかっているものの、治療費のネックや、まとまった時間が取れないなどの理由から、まずは市販薬で対処したいと思う方は多いように思われます。
一方、市販薬で本当に効果がでるのかが不安と思う方もいらっしゃることでしょう。
この記事では、そんなお悩みを持った方のためにも、多汗症の薬を中心に、特徴、使うときの注意点、また、治療が必要になった場合、どのような治療をすべきかについてご紹介します。
今すぐできる多汗症のセルフチェック
まずは、ご自身が本当に多汗症であるかどうかを確認しましょう。
普通の人と変わらない汗の量でも、思い込みから、多汗症であると間違った認識を持つ方もいらっしゃいます。
自分自身が多汗症であるかどうか、正しい認識を持つためにも、まずはセルフチェックを行ってみましょう。
以下の項目に、2つ以上当てはまる場合には、多汗症の疑いがあります。その場合、まずは専門医に相談しましょう。
≪多汗症のチェックリスト≫
- 手足が汗で濡れて靴が履けない
- 文字を書くときに、紙が汗で破れる
- 汗で握手をすることができない
- ハンカチやタオルが何枚も必要だ
- 寝ている間は症状がみられない
- 週に1回は多汗のエピソードがある
- 大量の汗をかくことにより、毎日の生活に支障が出ている
リスクが伴うことを理解した上で、市販薬の購入を検討する
汗をかくこと自体は命にかかわる病気ではないため、ドラッグストアや薬局で市販薬を購入し、セルフケアを考える人も少なくありません。
しかし、自己判断で多汗症の薬を使用することにより、症状は改善しないことがあったり、副作用が出るケースがあります。
購入する場合は、上述のようなリスクをよく理解した上で、購入すべきかどうかを判断しましょう。
ドラッグストアや通販で買える多汗症の市販薬
この章では、代表的な2つの市販薬について、ご紹介します。
塩化アルミニウムは、実際に医療機関でも多汗症の治療薬として処方されたり、漢方は直接的な改善に寄与するものではありませんが、体質改善を期待して用いるケースがあります。
塩化アルミニウム配合の塗り薬
多汗症の塗り薬の多くには、塩化アルミニウムが含まれています。
塩化アルミニウムは、医療機関でも実際に、多汗症の塗り薬として処方されています。
塩化アルミニウムの粒子が、汗腺(汗を出す器官)にフタをする働きがあります。その働きにより、汗の出る量が抑制されます。
多汗症の症状が軽い場合、すぐに効果が見られることがありますが、人によっては皮膚がかぶれたりといった副作用をおこす可能性もあります。
市販薬は、安全性を高めるために塩化アルミニウムの濃度を薄くしているため、症状が改善また、しない可能性もあります。
漢方薬
市販薬の一つに、漢方薬があります。
漢方薬は多汗症そのものを治すのではなく、多汗症になりにくい体質にする働きがあります。
漢方薬には次のような効果があるます。
- 緊張や不安を和らげ、精神的ストレスによる発汗を抑える
- 女性ホルモンのバランスを整えて、更年期障害による発汗を抑える
- 体のむくみを改善して、発汗を抑える
市販薬以外で多汗症を改善するための方法
市販薬を使っても多汗症の症状が改善しない場合、医療機関での治療が必要となります。
多汗症の治療には、以下のものがあります。
塗り薬による治療
3章でもご紹介しましたが、塩化アルミニウムは、市販薬としても販売されていますが、医療機関でも処方されます。
手足や脇など、特定の場所に多汗症が見られる場合に用いることが多いです。
塩化アルミニウムの副作用により、皮膚がかぶれ恐れがあるため、医師の指示に従い、用法用量を守って使用しましょう。
医療機器による治療
ビューホット
高周波(RF)で使用して、アポクリン腺やエクリン腺を照射し発汗を抑制する治療。
ウルセラドライ
アポクリン腺やエクリン腺の働きを高密度焦点式超音波を利用し、抑制する治療法。
ペアドライ
中央クリニックオリジナルの治療法。上記ウルセラドライとビューホットを組み合わせて、それぞれの特徴を活かした治療法。
イオントフォレーシス
水中で弱い電流を流すことにより、発汗を抑える治療法。
ビューホット、ウルセラドライ、ペアドライは、1回の治療で完治する場合が多く、イオントフォレーシスは複数回の繰り返し照射することで効果を実感することができます。
注射による治療
脇の多汗症の場合、ボツリヌストキシンを注射する治療は行われます(ボツリヌストキシン注射)。
このボツリヌストキシン注射には、発汗をコントロールする神経の働きを抑える効果があります。脇の多汗症のボツリヌストキシン治療は、保険診療と自由診療と2種類あります。保険診療の場合は1回の治療で使用できるボツリヌストキシンの量が決められているため、重度の多汗症の方や多汗症の範囲が広い方ですと十分の効果を感じられない場合があります。
内服薬による治療
塗り薬、イオンフォレーシス、ボットクス注射で症状の改善がみられない場合や、多汗症の原因が精神的の場合、内服薬による治療が行われます。
発汗は、神経伝達物質である「アセチルコリン」が分泌され、汗腺によって感知されることで起こります。
多汗症の治療では、このアセチルコリンの働きを抑える「抗コリン剤」を内服することで、症状を抑えることができます。多汗症に使われる主な抗コリン薬には「ブロバンサイン」があります。
また、強い緊張やストレスが原因で多汗症になっている場合は、精神安定剤が処方されることもあります。
どの診療科で多汗症治療が出来るの?
医療機関で多汗症の治療を受ける場合、どの診療科に行けばよいか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
多汗症の治療は、皮膚科、美容外科、形成外科、心療内科、婦人科・内科などで受診できます。
精神的ストレスの場合:心療内科・精神科
ホルモンバランスの崩れ(更年期障害含む)の場合:婦人科・内科
甲状腺機能の崩れの場合:内分泌科・内科
その他の場合:皮膚科・美容外科・形成外科・呼吸器外科
このように、多汗症の原因に合わせて相談先を変えると良いでしょう。
まとめ|自己判断はせず、医師の診察のもと正しい治療を受ける
全身や体の特定の部位に大量の汗をかく多汗症は、日常生活にも支障をきたします。
最近では、ドラッグストアや通販などでも、多汗症の市販薬を購入することができますが、自己判断で薬を服用することは危険です。皮膚のかぶれなど、副作用をおこす原因にもなりかねません。正しい治療を行うためにも、ご自分の多汗症の原因を把握し、自分に最適な治療法を受診できるようまずは専門の医師に相談するのが良いでしょう。